| 研究概要 |
本研究では,損傷を被った構造物の修復後の性能評価が可能な数値解析技術の確立を主眼とし,また損傷制御方法を模索している。そこで,補修・補強前後の鉄筋コンクリート部材の力学挙動に関する基礎的な実験データを取得すること,および開発を進める解析モデルの妥当性を評価するために必要な実験データを取得することを目的に,以下の実験を行った。
・せん断破壊した鉄筋コンクリートはりの補修後の性能評価に関する実験
・アラミド繊維シートによるせん断補強効果の確認に関する実験
・曲げ破壊した鉄筋コンクリートはりの断面修復後の性能評価に関する実験
・鉄筋-コンクリート間の付着を制御したRCはり部材の曲げ挙動の評価に関する実験
・一定軸力下で繰り返し曲げを受ける鉄筋コンクリート柱部材の力学特性ならびに損傷評価に関する実験
上記の実験データはいずれも基礎的なものであるが,解析ツールの構築方法の検討ならびにその検証に対しては,非常に有益となる。現状の解析モデルでは,せん断破壊した鉄筋コンクリートはり部材のひび割れ注入補修後の力学的挙動を妥当な精度で予測可能であることが確認された。また,上記の実験結果により,解析モデルの開発に当たっては,断面修復を行った部材の終局挙動の場合,断面修復部と既存コンクリートの境界面で破壊が進行すること,繰り返し曲げ載荷を受ける鉄筋コンクリート柱部材の終局挙動では,鉄筋のはらみ出しが顕著となることから,その実挙動を数値解析においても適切に表現する必要があることなどが確認された。
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