研究概要 |
H20年度は様々なベンダーエレメント試験の実施環境において提案する受信波形の再現手法が適用可能であり, 手法に一般性があることを室内試験により確認した. 室内試験は三軸試験装置, 圧密試験装置に組込んだベンダーエレメントシステムをもちいて実施され, まず異なる試験装置において再現性が確かめられた. 次に砂, 粘土, 泥炭の剛性の異なる土試料について同様の試験を行い, 再現性の程度を確かめた. その結果, 基本的に本研究で提案する手法はこれらの条件に関わらず適用可能であること, ただし, 受信波の再現性の程度については再現の要となる試験装置系のインパルス応答同定に用いるスイープ波の周波数特性に影響されることをつきとめた. この結果を受けて, 周波数特性の異なるスイープ波を用いた追加実験の結果からスイープ波の周波数特性を試験装置系のインパルス応答が持つ周波数特性と合致させることで受信波の再現性はもっとも高くなることを明らかにし, このことから最終的にこの手法を用いる際に必要なスイープ波の具体的な設計手法を示した. また, 本手法を用いて実際に不かく乱泥炭試料のせん断弾性係数をベンダーエレメント試験によって評価した結果, 妥当な値が得られることを示した. 以上の研究成果は地盤工学会, 土木学会東北支部で発表されている. また, 本補助金の交付期間における研究成果を現在論文としてとりまとめており, 近くSoils and Foundationsに投稿する予定である.
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