研究課題
地震や斜面崩壊などの自然災害、人的災害の多くの原因とされる、地質学的不連続面の破壊の物理的性質については未だ不明な点が多い。なかんずく、不連続面の破壊領域が比較的安定な準静的成長段階から力学的に不安定となり、動的状態へと遷移していく過程についての研究は、世界的にみても未だ初期段階であり、解決すべき問題が多い。本年度は特に、異種材料間に位置する不連続面の動的破壊伝播について、理論、数値解析を通して考察を行った。特に、物理特性が極端に異なる材料間に存在する不連続面の破壊の形態を、破壊速度に着目して追跡、評価した。従来のすべりや亀裂の破壊問題に関する解析の多くは、無限に広がる単一媒質内を伝わるものを対象としていることが多いが、有限な大きさかつ複雑な幾何形状の異種材料の影響を考察していることが本研究の特色となっている。また、既往の研究の多くは、特異積分で表された力学的平衡条件式をそのままの形で解こうとするため、特にすべり領域端において解析が煩雑となっているが、今回行ったように系全体のエネルギのバランスを考え、その安定条件(変分)を評価すれば、特異積分を直接評価する手間を省略することができる。その結果として、非線形すべり弱化則に従う不連続面の安定性という複雑な問題も比較的容易に解析可能となっている。研究成果の論文発表を行った第37回土木学会岩盤力学に関するシンポジウム(平成20年1月開催)では、「優秀講演論文賞」を受賞している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Proceedings of the 37th Symposium on Rock Mechanics なし
ページ: 371-374
Proceedings of the ECCOMAS Thematic Conference on Computational Methods in Structural Dynamics and Earthquake Engineering なし
ページ: 10
Proceedings of the Workshop on Numerical Modeling of Earthquake Source Dynamics なし
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Eos Trans. AGU 88(52)
ページ: 13-07
Report of the Research Center for Urban Safety and Security, Kobe University 11
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