研究概要 |
地球表層部において土や岩などから構成される地盤に,地殻変動のような大規模かっ長期にわたる力学的が負荷した場合,地盤中の間隙流体の移動と地盤の変形挙動との連成複合現象が生起する.こうした地質学的スケールの現象の中で形成される地質構造の形成メカニズムの解明は,どのようなプロセスを経て現在ある地質構造に至ったのかを知るのみならず,我々が生活する地球表層が,将来,どのように変遷していくかを予測する上でも,重要な役割を担う研究である.本研究では,地質構造,その中でも主に「断層」にスポットを当て,その形成メカニズムを数値解析を通して定量的に評価することを目的としている。ここで用いる解析手法では,1.飽和状態にある地盤材料の弾塑性的な力学特性の考慮,2.有限変形理論に基づく幾何学的非線形性の考慮,3.地盤の変形・応力・浸透の考慮が互いに連成した数理モデルとして定式化される.当該研究期間においては,過去の実験的・理論的研究成果を踏まえ,対象とする地盤材料,主に間隙を有する岩石材料の弾塑性構成モデルの改良・構築を行った.得られた成果は以下の通りである.1.ダイレイタンシー特性がせん断帯の生成条件に及ぼす影響についての考察,2.破砕履歴に伴うダイレイタンシー特性変化を表現する構成モデルの提案,3.上記の構成モデルを組み込んだ弾塑性有限要素解析プログラムのチューンナップ.これらの成果は,次年度以降の研究に対して理論的バックグラウンドを与えるものである.
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