地下水汚染や高レベル放射性廃棄物の地層処分などを検討する際に、対象物質の地下水中での拡がりを決定する重要なパラメータとして分散長がある。本研究は、化学的特性の不均一分布まで考慮に入れた分散長について、具体的な現象を調べるとともに、分散長の評価方法を確立することである。 本年度は、昨年度の室内実験結果をふまえ、物理的・化学的不均一性を考慮した水・物質の移動特性を把握するための反応輸送コードMIN3Pによる実験の再現を試みた。その結果、数値計算による破過曲線は、ほぼ実験結果を再現しており、MIN3Pによる計算の妥当性が確認された。さらに水理.化学パラメータの統計的分布特性の異なる2種類の場を生成し、それらに対するKCI溶液の投入シミュレーションを実施し、両者を比較を行い数値実験的に検討した。その結果、浸透層下端からの流出液の破過曲線は、両者でほぼ同じであったが、液相および固相のイオン分布を比較すると、配置した粒径ブロックにそれぞれ対応した濃度分布を示した。また、複雑な入力ファイルを要する反応輸送コードMIN3Pを用いることとは別に、より簡便な評価方法を検討するため、昨年度の実験結果をCTRW(連続時間ランダムウォーク)により再現することを試みたところ、その適用可能性があることを示した。
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