研究概要 |
河川法の改正に伴い, 全国的に河川整備計画が策定されつつある, その結果として河道形状の見直しがなされる河川も多いと思われる. 河道形の設計にあたり, 現代では, 利水施設の配置・機能, 自然環境の保全, 親水性を含めた高水敷の利用など, 多様な要素を考慮しなければならない. 一方で, 河道形状の骨格は, 大出水を滑らかに且つ安全に流下させるものでなければならない. したがって, 上に述べた時の河川機能を踏まえ, 洪水流の挙動を適切に把握するためのシミュレーション手法の開発が望まれる. 本年度は昨年度に開発した計算モデル(準3次元CIP-Soroban-BFC法)と高度化された航空写真解析法を併用して, 平成10年9月に生じた利根川洪水を例として, その下流区間約20kmにおいて, 計算モデルと航空写真解析法の結果を比較・検討し, 広域の洪水流動の考察を行った. 計算条件である流量と粗度係数は, 観測値と既往の研究例を参考にして, 水表面における主流速分布に関して, 航空写真解析と数値計算とを比較することで決定した. 計算された2次流は縦断方向に発達と減衰を繰り返しており, 河道曲率と横断地形が2次流の大きさを変化させることがわかった. また, 平面渦による乱れは横断地形に強く依存し, 高水敷がある河岸の下流部ではその傾向は顕著であった. さらに, シミュレーションで求めた平面渦の縦断スケールは航空写真解析結果とほぼ一致することがわかった.
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