研究概要 |
1.水理実験 断面2次元水路内に設置した消波構造物に対して種々の入射波を作用させ,入射波高,消波ブロック層の変形形状および背後への伝達波高を測定した実験結果を取りまとめた.主な成果は以下の通りである. 多くのケースにおいて,消波ブロック層の変形に伴い,堤体背後への伝達波高が増大する傾向が見あれた.しかし,特に天端高さが低いケースにおいては,消波ブロックの移動状況によっては堤体天端上での越波,越隆等の流体運動が阻害されるため,伝達波高の増加傾向が見られない場合もあった. 2.ライフサイクルコストの算定 ライフサイクルコストの算定については,これまでの手順をほぼ踏襲しているが,次の点を新たに検討した. 既設の消波構造物を対象として初期建設費は考慮しないことを明確に示すために,目標とする耐用年数末までの残りの年数(補修後の経過年数)を新たにパラメータに加えた.その結果,補修後に長期間の供用を考える場合は,粒径の増加による補修単価の増加割合を少しでも抑えることにより,総補修費用を低減させる効果が大きい可能性があることが分かった. 3.数値シミュレーション 基本形を開発済みの個別要素法モデルに,消波ブロック(非球形の物体)の運動を追跡するモジュールを組み込むことに取り組んだ.今年度は断面2次元モデルでの開発に取り組み,消波ブロックの運動を追跡する剛体連結モジュールはほぼ完成した.しかし,外力が大きいために消波ブロックの運動が激しくなるケースにおいては計算がやや不安定になる傾向が見られたので,更なる改良が必要である.
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