研究概要 |
本年度は,公共事業を巡る多様な認識体系を想定したコミュニケーション過程を分析するための「主観的ゲームモデル」を構築し,関係主体間の認識の不一致に起因する社会的コンフリクトのメカニズムを理論的に分析した.さらに,公共プロジェクトを対象とした公的討議過程における認識の不一致問題を検証するためのプロトコル分析を実施し,次年度以降の実証分析のための方法論を検討した. 1)公共プロジェクトに関して異なる認識体系を有する行政と住民間のコミュニケーション過程を主観的ゲームとして記述し,認識体系の違いに起因する社会的コンフリクトや住民の行政に対する不信頼を緩和するための方策として,第三者委員会による評価の有効性と課題について理論的に検討した.その結果,第3者委員会を素朴に導入し,その評価結果を公開するだけでは,一部の委員による戦略的発言によって議論が形骸化するという潜在的可能性があることを示した.その上で,第3者評価を通じて行政と住民間の信頼形成を促進する上では,第3者委員会の討論過程において,発言に一定の制約を設けるようなコミュニケーション・ルールを導入することにより,言語体系の共有化を図ることが重要であることを理論的に指摘した. 2)公共プロジェクトを対象とした討論過程のプロトコル分析を通じて,討論参加者間の認識の不一致を検証するための方法論を提案した.討論参加者の発言をファセット理論に基づいて分類することによって,参加者間の認識の不一致や意見対立状況,および討論過程における会話パターンを明確化できることを示した
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