研究概要 |
本研究では,鉄道用バラスト材の繰り返し変形挙動を対象に,高精度かつ高効率にその挙動を解析する手法の構築を主目的としている.バラスト材は砕石の集合体であるが,個別要素法に代表される不連続体モデル・解析手法の適用は計算負荷の上から定量予測には必ずしも適しているとは言い難く,本研究では砕石の集合体としてのバラスト材を等価な連続体に置き換え,その力学挙動を弾塑性構成モデルを用いて表現することとした.平成19年度は,平成18年度から引き続き構成モデルの検討を行なっている.構成モデルには,hypoplasticモデルと回転硬化を考慮した下負荷面モデルの2種類を考え,各々の力学挙動の再現性能について,解析結果と実験結果との比較を通して検討した. また,解析の効率化を図る目的で,hypoplasticモデルに基づく繰り返し変形解析を対象に,Fishらが提案している時間域マルチスケール法を適用することを試みた.本研究では,短時間での状態の変化を表現する代表時間スケール(ミクロ時間スケール)と,短時間の状態変化の累積によって生じる長時間での状態変化を表現する代表時間スケール(マクロ時間スケール)の2つの時間スケールの下で,対象とする力学現象が記述できるものと仮定することで時間域マルチスケール法を適用した.漸近展開法によって上記2つのスケールにおける構成式を導出し,双方の時間スケールの問題を弱い連成の下で解くこととした.平成19年度は,ミクロ・マクロ双方の時間スケールの下での構成式を漸近展開法によって導出し,ミクロ・マクロ連成解析アルゴリズムを構築した.また,提案手法の妥当性を検討する目的で,従前の繰り返し変形解析結果との比較・検討を行なった.その成果については,平成20年度に公表する予定である.
|