研究概要 |
消費に関ずるディマンドチェーン形成行動を誘導しうる交通企業,小売企業の行動モデルを構築した. 昨年度は空間的消費外部性を明示的に取り込んだ消費行動モデルを構築し, ディマンドチェーンを形成するメカニズムを分析するツールを開発した。本年度の企業行動モデルは, 昨年度の研究成果を踏まえ, 消費者が特定の地域内で行動するインセンティブを得るような価格設定, 経営戦略を分析するためのものである. 具体的には, 消費者のディマンドチェーン形成誘導を目指した情報提供等を通じた企業の経営戦略を, 1)より効果的に消費者の消費行動同士の関連性をもたらしうる制度設計問題, 2)情報提供のタイミング決定問題の二つに焦点を絞って分析した. 1)に関しては, 昨年度に引き続いて戦略的相補性の概念を援期し, 一方2)に関しては, 情報の経済学の分野における非対称情報問題を, ゲーム理論を援用して分析し, その後企業の行動モデルの枠組へと発展させた. さらに, 企業行動の分析の実態調査のため, 実際にディマンドチェーン形成を目指した経営を行っている実務家からのヒアリングを実施した. 申請者はすでに立ち上げた, 関連する研究者・実務者が交通経営に関する検討課題とその解決方法を議論する交通経営マネジメント研究会におけるディスカッションや, 参加メンバーからの具体的な専門的知識の提供を援用して, 交通カード, コミュニティカードの実際上の運用に関してや, その導入の理論的背景等について分析した.
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