研究概要 |
有害物質生成藻類の問題については、古くより研究されてきている。しかしながら、依然として、日本国内および世界各国で有害物質生成藻類の問題は解決されていない。また、従来藻類の分析は検鏡によっており、手間と熟練を要するのが現状である。同一種であっても、形態や生産化合物が異なる場合があり、新たな分類手法や分析手法が求められている。本年度も引き続きは、京都市の池での現地調査を行った。気温や照度などの気象条件、水温、pH,溶存酸素、電気伝導嵐浮遊物質、クロロフィルa、窒素、リンなどの一般的な水質項目に加えて、昨年度に開発したリアルタイムPCR法による有害物質生成藻類の測定を行った。その結果、調査時の池は富栄養状態であり、窒素濃度/リン濃度の比が高いときにクロロフィルa濃度が増加しており、ミクロシスチンの濃度が高い時には藍藻類の比率が増加していた。現地調査でのMicrocystisのmcy A遺伝子およびMicrocystisの16S rRNA遺伝子の濃度の分析結果により、有毒Microcystisが全Microcystisに占める割合を算出した。有毒Microcystisの全Microcystisに占める割合はおよそ80%であり、ミクロシスチン濃度と有毒Microcystis濃度の相関関係が見られること、窒素濃度がMicrocystisの増殖に関連していることなどが示された。また、滋賀県の琵琶湖において、夏季に平面的な分布調査を同様にして行った。調査時は富栄養状態であり、広沢池とは異なりAnabaenaが優占していた箇所も多かった。ここでもリアルタイムPCR法による有害物質生成藻類測定の可能であることが示された。
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