研究課題
本研究では生物反応型埋立地覆土層を開発することを目的として現地調達可能な材料を覆土材として利用するとともに覆土中のメタン酸化細菌群(MOBs)の有効利用により、メタン酸化を効率的に利用する覆土工法および処分場管理手法を提案する。昨年度の成果を踏まえて、実覆土材の有するメタン分解能力と透気係数の関係を比較したが、試料の透気係数は同じオーダー内に収まっており、メタン酸化能力に大きく影響するほどの差は確認されなかった。MOBの保有する遺伝子数とメタン分解活性の関係性については、初期メタン濃度が高い条件下においてメタン酸化能力を示した地点においてpmoA遺伝子数が10^8 copy-DMV/g、ならびにmmoX遺伝子数が10^5 copy-DNA/gを越えており、タイプIIのMOBが優占していることが考えられる。この結果は、メタン濃度とメタン酸化の関係とも一致していた。一方、初期メタン濃度が低い条件下においてメタン酸化能力を示した地点ではpmoA遺伝子がmmoX遺伝子に比べて10^4オーダー以上多いことが示され、同地点ではタイプIのMOBが優占していると考えられた。このことは低濃度メタンの条件下においてメタン酸化速度が特に高いことからも推測された。A処分場のこうした結果と比べて、IO処分場における覆土のメタン酸化能力は低いことが示された。遺伝子数の解析結果からはIO処分場覆土中においては、細菌存在量が著しく低いことがその原因としてあげられた。昨年度の成果から、IO処分場覆土においては、メタン酸化細菌自体が充分量存在しておらず、メタン酸化能力がそれほど期待できない状況下にある可能性が示唆されたものといえる。以上の検討結果から、実処分場におけるメタン酸化能力およびメタン酸化細菌群集の分布状況が明らかにされた。表層におけるメタン酸化能力は処分場ごとに異なることが示され、反応型覆土の適用にあたってはこうした土着の微生物群の評価と有効活用が肝要であることが示された。
すべて 2008
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Journal of Material Cycles and Waste Management 10
ページ: 165-172