ACE(Affinity Capillary Electrophoresis)法を基盤とした新規な複合微生物群解析手法の開発を行った。平成19年度は合成した遺伝子断片を用いたモデル系について基礎的検討を行った。Escherichia coliおよびPseudomonas puticlaからそれぞれ抽出したtotal RNAを用いて、2種混合模擬複合系を構築した。当該年度における検討項目は1:それぞれのtotal RNAの定量的検出、および2:プローブの結合・解離の繰り返しによる測定値の変化の2つである。 E.coliおよびP.putida由来のtotal RNAの5'末端をビオチンで標識した。続いてそれぞれのRNAの合計を4μgとし、その混合比率を段階的に変化させてアビジン標識したマグネティックビーズと結合させた。調製したマグネティックビーズ溶液をキャピラリー管内に導入し、磁石で保持した。E.coli、P.putidaのそれぞれの16S rRNAをターゲットとした特異的プローブ Eco997およびPSMGを供試し、測定を行った。定量には、ホルムアミドでプローブを解離させた時のピーク面積を用いた。繰り返し測定については、ビーズをキャピラリー管内に保持させた状態で、Eco997プローブおよびPSMGプロ-ブを交互に供試し、検討を行った。 その結果、いずれの16S rRNAをターゲットとした揚合においても、total RNAの混合比率の増加とともにプローブの解離ステップで検出されるピーク面積が増加し、5-50%の範囲において定量的に検出可能であることが示された。また、異なるプローブの結合・解離を交互に繰り返し行ったところ、5回までそれぞれのRNA量を反映したピーク面積が検出された。従って本手法は、5種類のターゲットをそれぞれ定量的に検出可能であると考えられる。
|