研究概要 |
ACE(Alfinity Capillary Electrophoresis)法を基盤とした新規な複合微生物群解析手法の開発を行った。平成20年度は活性汚泥中の微生物の検出について基礎的検討を行った。活性汚泥から抽出したtotal RNAに対してEscherichia coliおよびPseudomonas putidaからそれぞれ抽出した16S rRNAを加え、模擬活性汚泥試料を作製した。 模擬活性汚泥から抽出したtotal RNAの5^'末端をピオチンで標識した。続いて5^'末端ピオチン標識RNA4μgをアピジン標識したマグネティックビーズと結合させた。調製したマグネティックビーズ溶液をキャピラリー管内に導入し、磁石で保持した。E. coli, P. putidaのそれぞれの16S rRNAをターゲットとした特異的プローブEco997およびPSMGを供試し、測定を行った。定量には、ホルムアミドでプローブを解離させた時のピーク面積を用いた。 その結果、いずれの16S rRNAをターゲットとした場合においても、混合比率の増加とともにプローブの解離ステップで検出されるピーク面積が増加した。E. coliの定量値は添加した量とほぼ同程度の値を示した。一方、P. putidaの定量値は添加した量に対して1.5倍程度高い値を示した。これはもともと活性汚泥に存在するP. putidaの量に依存するものだと推測される。結論として、本手法は活性汚泥中の特定の細菌を定量的に検出可能であると考えられる。
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