研究概要 |
従来、建築物施工現場でのコンクリートの受発注は、主に強度と流動性を指定することによりなされている。これは、構造的観点から要求される強度を満たし、かつ柱,梁,壁などに確実に充填することを重要視しているためである。一方、現場打ちコンクリート床下地の施工にも、柱,梁,壁などに用いたコンクリートをそのまま用いることが多い。ここで、床下地の表層部品質には施工の過程で行う上面仕上げ作業の良否が大きく影響するが、高強度,高流動コンクリートなどのなかには比較的上面仕上げ作業がしにくいものが多いため、表層部晶質の劣悪な床下地が多数出現している。 このような問題を未然に防ぐためには、強度,流動性が適切であることに加え、上面仕上げ作業のしやすさも考慮してコンクリートを選定する必要があるが、上面仕上げ作業のしやすさを調合から予測することは、現時点では非常に困難である。したがって、上面仕上げ作業のしやすさも考慮に入れて用いるコンクリートを選定するためには、事前に調合と上面仕上げ作業のしやすさを表す物理量FIの関係を把握しておく必要がある。 このような観点から、本年度は、近年用いられている様々なコンクリートの調合ごとにFIを求め、データベースとして蓄積した。具体的には、実際に用いられている調合の調査結果から強度,流動性の組み合わせごとに最も一般的と思われる75種の調合を試料として選定し、FIを測定した。 来年度は、FIの変化には調合のどのような要因が大きく影響するかを考察し、上面仕上げ作業がしやすく、かつ強度,流動性の観点からも優れたコンクリートを得ることができる調合を模索,提示する予定である。
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