研究概要 |
振動実測に関する機材やコンピュータの発展により, 建物における観測記録は質・量ともに増えてきている。質の面からは, 従来, 建物の固有振動数と減衰定数のみに着目した比較的簡易な観測体制で得られた記録が多かったのに対し, 近年では立体振動挙動を把握するための観測体制で得られた多点・多成分の記録が得られている。量の面からは, 継続的な観測によるデータの蓄積と, 機器の精度向上による小振幅レベルの地震記録が得られるようになってきた。 立体振動挙動を把握するために, 多点・多成分の記録を効果的に分析する3次元アニメーションツールを作成した。このツールは, 単に観測記録を表示するだけでなく, 基本的なスペクトル解析や, 着目したい振動数範囲を内部で容易に変更ずる機能が入れてあり, 立体振動モードやその時刻歴での変動を抽出可能なものとなっている。 継続的な観測からは, 振動特性の経年変化に着目し, 従来は扱われなかった小地震の観測記録も用いたた分析を進め, 構造種別によって固有振動数と減衰定数の変動に違いが認められること, 地震動の違いによって振動特性がばらついていること, その影響度合いが構造種別によって大きく異なることを示している。
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