研究概要 |
せん断破壊型RC柱の崩壊に関する実験結果を用いた地震応答解析により,RC系建物の中間層崩壊について検討した。1995年兵庫県南部地震における中間層崩壊の被害が10層程度の建物に多かったことから,それらの建物を想定した9層建物モデルを設定し,崩壊層の最大変形について主に6層,3層建物と比較した。上部から3層目を崩壊層とし,その層の崩壊が先行するように耐カ分布を決定した。崩壊層の構造耐震指標Isは,すべてのモデルで0.4の同一値とした。解析の結果,1)崩壊層のIs値が同じであっても,6層,3層建物に比べて9層建物の変形が大きくなる傾向があり,9層建物の中間層の安全性がより低いと考えられること,2)崩壊層のIs値が同じであっても,6層,3層建物に比べて9層建物の安全性がより低いこと,等がわかった 中間層崩壊を対象としたサブストラクチャ擬似動的実験を実施するための準備を行った。実験は10層建物を対象とし,せん断破壊型柱が崩壊するまでの加力を行う。崩壊層を上から3つめの層とし,その層を実験対象の層とする。崩壊層のIs値は,中間層崩壊が生じる脆弱な建物を想定して,Is=0.4とする。試験体は実大RC柱6体とし,せん断補強筋比Pwは,1971年以前の規準で設計された建物を想定したPw=0.1%程度と,1972年から81年の間の建物を想定したPw=0.25%程度の2種類とする。入力地震動は,兵庫県南部地震で記録された地震波および近年の大地震で記録された地震波とする。
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