研究概要 |
本年度は,予定した研究計画に合わせたかたちで大きく2つの検討を行った。 1つ目は,コンクリート構造物における炭酸ガス固定効果を説明する上での必要条件となる,コンクリート構造物の施工段階における輸送時環境負荷を,関東首都圏をモデルとして骨材重量と移動距離にの積で換算されるトンキロ値と二酸化炭素ガス排出量により算出した。これはコンクリート構造物のライフサイクル全体で排出される二酸化炭素総排出量の輸送時排出量に関係づけられる基礎的知見となり得る。 2つ目は,コンクリートによる炭酸ガス固定効果に関わる物性面に関わる基礎的知見を得るために,調合条件(W/C=0.45,0.5,0.65,0.8)を変えたモルタル試験体を作成し,促進中性化試験(温度20度,60度,相対湿度60%)を想定最大暴露材齢60年分を目処にモルタル試料を炭酸化させ,一定の材齢ごとの自由水量,結合水量を測定するとともに,割裂引張強さ,圧縮強さならびに水銀圧入式ポロシメータによる微細構造を測定し,炭酸化による微細構造の変化を予備的に評価をした。また打設後40年ほどを経過した実構造物からのコアコンクリートを採取し,示差熱熱重量測定器により水酸化カルシウム量および炭酸カルシウム量の組成重量差を評価し,炭酸化による固定化効果を評価する上での基礎的知見を得た。
|