研究概要 |
本年度は、1.小径コア法への粘弾塑性サスペンション要素法の適用性の確認を行うとともに、2.モデル実験による比較・検討、および3.実験結果と解析結果の差に関する理由の検討を行った。以下にその内容を示す。 小径コア法への粘弾塑性サスペンション要素法の適用性の検討については、以下のように行った。まず、基準となる直径10cm,高さ20cmの大きなモデルを作成する。この大きなモデルから、小径コアを抜き取ったと仮定して、直径5cm,高さ10cmの小さなモデル、さらに直径2.5cm,高さ5cmのさらに小さなモデルを作成する。これらのモデルを用いて、破壊解析を行い、それぞれの圧縮強度を比較した。その結果として、小径コアとした場合に圧縮強度が大きくなるという、既往の実験結果と同様の傾向が得られた。これは、本解析手法が小径コア法の解析に適用できごとを示すものである。 モデル実験は、直径10cm,高さ20cmの通常の円柱供試体と、直径5cm,高さ10cm、さらに直径2.5cm,高さ5cmの小径コアを模した円柱供試体を作成し、その圧縮強度の比較を行った。その結果、既往の実験結果とは異なり、小径コアの圧縮強度は、ばらつきが非常に大きくなり、平均をとると通常の供試体と比べてわずかに小さくなるという結果が得られた。このような結果は、圧縮強度が大きいコンクリートにおいて小径コアを抜いた場合に得られており、試験精度や内部の欠陥などが理由として考えられると結論づけた。 実験結果と解析結果の差が生じる理由を試験精度と仮定し、偏心荷重を受ける場合のコンクリートの破壊挙動について検討した。その結果として、偏心荷重の影響は、小径コアのほうが大きく、この結果として強度のばらつきが大きくなり、強度の増加が相殺されるのではないかと考察した。
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