本研究は2014年に開通予定の北陸新幹線沿線地域(東京-金沢間)を対象とした社会調査を実施し、開通する事前の生括環境、騒音による被害について現状を把握することを目的としている。これは将来的に新幹線が整備された後に再び調査を実施することで事前と事後の住環境変化と住民の心理的変化について把握することまでを想定している。調査対象地域には北陸本線と国道159号線などの主要道路があり、本研究ではそれぞれの騒音に暴露されている状況下での住民による騒音・生活環境に対する評価を得て、騒音暴露量との関係について検討し、将来の北陸新幹線開通後の生活環境変化による影響を捉える際の資料を得ようと試みるものである。 2007年度は石川県における北陸新幹線沿線住民を調査し、1620件の戸建て住宅を調査対象住宅として抽出した。各住宅に対して1名の回答者を対象に、各世代の生活環境に関するアンケートの回答を幅広く得られるよう配慮している。近年では社会調査の回収率を確保することが非常に難しいが、本研究では事前に依頼文を配布したり、回答・返送しやすいようにアンケート内容や書類等の工夫も行っている。アンケート調査の回収率は59%であり、952件の回答を得ることが出来た。その調査結果を2008年度に建築学会等の学会で報告するために、データの整理・分析を行っている。現時点では男女比は57:43であり、各世代すべてのデータは得られたが50代の回答が最も多く、20代の回答が比較的少ないことが確認された。また、2008年度に実施する騒音測定のための調査地域の選定および予備測定を実施し、本調査の円滑な活動に備えるという2007年度の計画通り研究を推進した。
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