研究課題
本研究は2014年に開通予定の北陸新幹線沿線地域(東京-金沢間)を対象とした社会調査を実施し、開通する事前の生活環境、騒音による被害について現状を把握することを目的としている。これは将来的に新幹線が整備された後に再び調査を実施することで事前と事後の住環境変化と住民の心理的変化について把握することまでを想定している。2008年度は2007年度に実施した石川県における北陸新幹線沿線住民を対象とした社会調査を行った住宅の騒音曝露量を把握するための騒音調査を実施した。実測結果から基準点の騒音曝露量と距離減衰予測式を求め、各住宅の騒音曝露量を算出するという従来の調査手法に則っている。音源から1列目の住宅の曝露量と社会調査との関係(平均値)を分析した結果、騒音のアノイアンスに関しては鉄道騒音の方が道路交通騒音よりも同じ騒音レベルにおいて高い反応が得られ、50dBから60dBでは有意差がみられた。この結果は研究代表者が北海道と九州での調査データをもとに行った分析結果と同様の結果であり、鉄道ボーナスの発想とは逆の結果である。また、生活活動妨害との関係では、聴取妨害系では騒音のアノイアンスと同様に鉄道騒音の方が道路交通騒音よりも妨害感が高く、入眠妨害・覚醒では音源間に有意差はみられなかった。さらに本研究ではアンケート質問文のワーディングとして「騒音」と「音」を使用することによる評価の違いについても検討している。前述と同じデータから比較した結果では、「音」の方が「騒音」よりも反応が高い傾向が見られた。これは当初の仮説とは異なる結果であり、今後のデータ分析やさらなるデータの蓄積から再検討する必要がある。アンケート結果により対象地域の生活環境の現状を把握し、さらに騒音曝露量との関係性についても検討することができ、これらを国際学会(ICBEN2008)や建築学会等で成果発表した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
日本建築学会学術講演梗概集 D-1
Proceedings of The 9th Congress of the International Commission on the Biological Effects of Noise (CD-ROM)
日本建築学会北陸支部研究報告集 51
ページ: 181-184