本研究は、実住宅における換気システムの稼働に関する測定と、国内外における調査により実施し、運用実態に基づく換気設備の省エネルギー性能評価に関するデータの取得と情報取得を行った。 1.実住宅における測定 北海道に建設された木造二階建て住宅を対象として、H19年度からH20年度まで、換気設備の稼働状況に関する連続測定を実施した。当該換気設備は、室内の相対湿度に応じて風量が増減するいわゆるDCV (Demand Control Ventilation)システムで、建築基準法で全般換気設備に要求されている夏期の条件では、基準値である0.5回/時以上の能力を有している。ここでは、(1)換気システム風量、(2)換気システム消費電力、(3)室内温度・湿度・二酸化炭素濃度、(4)屋外温度・湿度・二酸化炭素濃度、などを居住状態で連続的に測定し、相対湿度制御がなされていることやエネルギー消費の傾向などを確認した。 2.実態調査 本年度は、主にスウェーデンとノルウェーを対象とし、以下の調査等を実施した。 (1)スウェーデン 換気設備メーカーを訪問し、換気空調設備の省エネルギー性能確認方法の調査および換気空調設備のエネルギー消費量基準に関するヒアリングを実施した。また実験施設における換気空調設備の性能測定方法に関する規格や得られた性能データの整理方法についての情報を得た。また換気空調設備の風量検証現場の見学、およびスウェーデン空調協会を訪れ、換気空調設備に関する維持管理や運用・省エネルギーに関するガイドライン等のヒアリングおよび資料収集を実施した。 (2)ノルウェー 大学及び省エネルギーコンサルティング会社を訪問し、断熱、換気・空調および省エネ技術一般に関するヒアリングを実施した。またヒートポンプや熱回収型換気設備などの省エネ設備の導入された住宅を訪問しヒアリングを行った。
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