本研究では、室奥へ昼光を導く性能を「導光率」として定義し、総合的に導光性能を評価できる安定的な指標を提案することを主たる目的としている。そのため、まず、1)現在までの昼光利用手法を整理した上で「導光率」という指標について、実測を踏まえ定量的な明るさの値と相互参照しつつ検討し、次いで、2)検討し考案した「導光率」について、系統的なシミュレーションを実施することで適切に評価できるかどうかを検証し、更に、3)従前の昼光率等の指標も含め導光率をベースとした昼光利用性能評価の体系化の基礎的検討を行う、という手順で研究を進めていく。 平成19年度は、このうち、特に1)に関連する以下の研究を実施した。 (1)導光手法に関する既存の情報の整理と開口部の導光効果に関連する測光量の取得 既存の導光手法に関する情報について国内外の技術ガイドライン等を対象にサーベイした。また、模型実験により開口部の導光効果(部分的な導光手法)に関して測光量(照度・輝度)を得た。 (2)導光手法のタイプ分類 (1)で得られた結果をもとに、様々な観点からの導光率の枠組みを検討した。具体的には、部分に対応する「部分導光率」と、それらを総合的に評価できる「総合導光率」の指標の構成を考案した。「部分導光率」に対応する手法としては、外皮部分における導光手法、躯体内部分における導光手法、室内部分における導光手法が考えられ、「総合導光率」はそれら複数部分を組み合わせた導光手法によると考えられた。また、より抽象的な評価として、鉛直方向と水平方向にわけた導光効果を合成した「総合導光率」についても検討した。
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