平成20年度も引き続き、次世代汎用CFD(Computational Fluid Dynamics)として大きな期待を集める、LES(Large-Eddy Simulation)のための植生キャノピーモデルの開発を中心に研究を行った。昨年度に、植生キャノピー層にRANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes) モデル、キャノピー層の上層部にLESを導入するLES/RANSハイブリッドモデルを開発した。平成20年度はRANS、LESそれぞれの乱流モデル(SGS(subgrid-scale) モデル) の組み合わせによる違いをパラメトリックに検討した。RANSとしては、(1) 混合距離モデルと(2) 平岡ら(1989) のk-εモデル、LESのSGSモデルとしては、(1) 標準Smagorinskyモデルと(2) 一方程式型SGSモデルを導入した。いずれの組み合わせも比較的簡易で、汎用性の高いものと考えている。RANSとして平岡らのk-εモデルを用いた場合の方が若干妥当性の高い結果が得られたが(LESのSGSモデルの違いによる影響はほとんどなし)、いずれの組み合わせでも、RANSとLESの切替位置付近で流速分布に非物理的な不整合が生じた。この問題に関しでは、切替位置付近での空間的なフィルタ操作(不整合な流速分布を滑らかにするためのフィルタ操作) の導入を試みたが、十分な改善は得られなかった。これについては今後もさらなる対策を検討していく予定である。
|