本研究は地域の福祉ニーズの実態とそれに応じた再利用(コンバージョン)ニーズを把握し、一方で地域の建物の余剰の状況をシミュレートし、それらを照らし合わせることにより、地域の建物を福祉サービス拠点として利用転換していく可能性を検討することを目的とした。1年目は小規模通所サービスについて、そのニーズと運営・利用空間の実態を把握し、2年目は他機能用途から福祉拠点へのコンバージョンの実態を把握し、加齢項目への対応可能性などについて評価した。本年は、東海地方の計画開発住宅市街地(ニュータウン)の人口変動予想と余剰建物のシミュレートを行った。ニュータウンごとに、建物余剰や高齢化のスピードは異なるが、総じてニュータウンの高齢化が進む折に、その周縁地域の高齢化率はさらに高い状況であるなどの結果が得られた。これらより高齢化するニュータウンにたいして今後、福祉拠点(高齢者住宅・通所施設など)をどのように整備していくべきかについて可能性を検討する段階にいたった。3年間の研究において、地域の建物の余剰予測と、その福祉拠点への転換手法に関する知見が得られた。
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