本研究では郊外戸建住地の更新過程を明らかにすることを目的とし、住宅・宅地の継承過程と所有形態の変化を分析した。具体的には行政データおよびインターネット登記情報サービスを元に1999年と2007年の土地、建物、世帯主情報を調査した。対象は、同じ団地の2つの町丁目で昭和40年代前半に開発され、2007年で町丁目Aは198筆、184棟、町丁目Bは247筆、220棟である。 分析の結果、1999年と2007年の間で建物・土地の権利関係の変化は、町丁目Aで16%、町丁目Bで14%となり、持地・持家から空家、借家から持地・持家の変化は両丁目共に相対的に多く、変化した区画の23%、17% であった。さらに、所有形態の変化をみると、住宅・宅地が売買され更新された事例の割合は、土地・建物ともに約1割在しており住宅・宅地の流動化が窺えた。 最後に、2007年までに所有者の変化した住宅は、313棟の内61棟であリ、約20%が居住更新している。この内、親族間の変化が7割となっており、子世帯の居住が推測される。また、残りの3割は郊外住宅地における中古住宅の需要ポテンシャルを示していると考えられる。 以上より、住宅・宅地の継承特性として、(1)親族間の居住更新が15%あり、居住継承の実態があること(2)1990年代後半から借家化の傾向がみられ、中古住宅の需要ポテンシャルが一定する存在することの2点を明らかにした。
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