研究概要 |
最終年度は,主に住宅団地における緑地環境評価の調査・分析を中心に研究を実施した。 現地調査は,レクリエーション機能である公園,住宅地内の公園に通ずる街路を中心に,住宅前面緑化率,経路緑視率の指標を作成し,評価を実施した。この指標を作成するに当たり,経路上の住宅前面パノラマ画像の作成や経路上の緑視率を算定するためのメッシュ画像の作成を行った。さらに,住宅の緑被率を併せて評価するために,空中写真を活用し,同様にメッシュ画像から,緑被率の算定を行った。くわえて,このような居住環境下,レクリエーション環境下における緑化の方向性を決める緑地協定などの緑化指針を有している団地におけるこれらの内容の精査を行い,どのような項目が含まれているかにより,住宅前面緑化率,経路緑視率,緑被率がどのように差があるか,さらには,通りによりどれくらいの差異が見られるかも明らかにしている。 また,住宅内道路の緑化手法等についても整理を行い,適用時の方法・課題などを明らかにするとともに,CGシミュレーションによりどのような方法であれば安全性が確保できかっ快適な視環境が確保できるのかも評価実験を通して明らかにしている。 そして,都市全体の緑地変化の現象を把握するために,数年前に実施した方法と同様に,リモートセンシングデータとGISデータを活用し,土地被覆データ,NDVI,社会的環境要因を指標として,主成分分析・クラスター分析を行った結果,ほぼ同様の結果となっている。この結果を,緑地保全方針を示すものとして取り扱うこととした。 以上のように,3カ年にわたり緑の持つ特性から緑地環境評価を行ってきたが,緑の果たす役割は多岐にわたり,都市計画学のみでない,分野横断的な評価も今後重要になってくると考えられる。
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