本研究では、インド洋津波において最も甚大な被害を受けた、インドネシア・スマトラ島・バンダアチェ市の恒久住宅供給過程を継続的に検証している。ドナーの違いによる供給パターンを比較検討する中で、有効な供給パターンや各々の問題点を明らかにする際に、■視点1)住民主導型と行政主導型の比較、■視点2)施工管理の問題、■視点3)恒久住宅モデルの妥当性の検討、■視点4)借家人への恒久住宅供給問題、の大きく4つの視点を構えている。 二年度目にあたるH20年度は、■視点3について、主に昨年度の調査で得られたデータを整理するかたちで、研究・分析を行った。復興住宅に住む居住者の家族構成、被災後から復興住宅入居までの足跡、生活行為と空間利用の仕方などを調べた。こうしたデータをもとに、スタンダードな平面計画の復興住宅が居住者によってどのように住まれているのか明らかにした。平面計画については、あらかじめ台所が供給されているかどうかが、住まい方の大きな違いにつながった。また、市街地中心部と沿岸部の被災地区での復興住宅における空き家の割合、実際に住んでいる居住者は住宅供給を受けた被災者なのかといった視点から、居住状態を明らかにした。その結果、沿岸部では空き家があるものの実際に居住されている住宅は、従前居住者が大半であったのに対して、市街地中心部では、すでに復興住宅を売買する不動産市場形成されており、被災した従前居住者が必ずしも復興住宅に住んでいるわけではない状況を明らかにした。以上によって供給された恒久住宅が、被災者によって有効に活用・利用されているかどうか検証した。
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