一般開放性を重視した5つの劇場・ホール施設の調査と基本的なデータ分析を通して、ホワイエを含むオープンスペースの利用実態や利用者意識について、現段階では主に以下の明らかにした。 1 公演時外のオープンスペースの滞在者については、夕方以降は中高生による勉強の利用も目立ったが、日中には会社員の打ち合わせ等による利用も多かったのが特筆すべき点であろう。 2 オープンスペースの滞在者は来館頻度が高いリピーターの割合が高く、利用目的では読書・学習的なものが多く時間も比較的長時間であった。来館頻度が少ない滞在者では、待ち合わせや打ち合わせ等による滞在が多かった。 3 開館時間から閉館時間まで、一定時間ごとにホワイエを含むオープンスペース各所の滞在者の観察調査を行い記録することで、ホワイエを含むオープンスペース滞在者の場所の選択や滞在時間の違い、また、滞在者への意識調査から場所や空間の嗜好性も明らかにした。 4 ホワイエ部分を公演時外に開放していたとしても、ロビー等その他のオープンスペースに比べ、利用者が少ない実態が明らかになってきた。その要因としては、空間構成上、施設内の奥まった端の空間であること、オープンスペースと何らかの形で区切られていること、公演時に利用するものという意識があること、などが分かった。 5 3つの劇場・ホールごとに公演時外と公演時で同一の被験者を使って、ホワイエを含むオープンスペースにおいて、写真撮影による指摘法実験と実験心理学的手法を用いた空間評価を行なったところ、公演時外と公演時では、その指摘が違うこと、また同じものを指摘していてもそれに対する評価の違いが明らかになった。
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