本年度は以下の作業手順により、日本における自然葬地の計画に対する価値評価のモデル構築とその検証を、今日分散構造分析を用いて試行した。 1)研究代表者による、イギリスの自然葬地に関する既往の研究から、日本における自然葬地に対する評価基準としても有効と考えられる、「個人」、「公共」、「自然」、「環境」の四つの価値概念を抽出し、それらを潜在変数とした因果関係モデルを仮定し、それぞれの潜在変数に対する観測変数としての具体的な評価項目を設定した。 2)1)で設定した具体的な評価項目に対する評価を質問項目として、12種類の自然葬地の計画タイプをあらわす模式図に対し、大阪府内の高齢化の進んだ団地住人を対象としたアンケート調査を行った。 3)アンケート調査の結果に対して1)で設定した潜在変数を想定した共分散構造分析をおこない、十分に適合度の高い、自然葬地の計画に対する評価構造をあらわす因果関係モデルを導きだした。その結果、想定した4つの価値概念は日本の場合においても自然葬地の計画に対する評価基準として有効に働いていることが検証され、潜在変数スコアの抽出結果から具体的な自然葬地の計画タイプに対する各価値概念から見た評価についても明らかになった。 以上の研究成果は、2008年度に出版予定の研究代表者による著作のなかで講評する予定であると同時に、価値概念と設問項目に対するさらなる改良を加えて2008年度に別の対象群における結果と比較し、その研究成果を日本造園学会にて発表する予定である。
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