本研究は、固定資産台帳の調査から得られたデータから既存住宅の平均寿命の推移を明らかにすること、その結果から今後の住宅の着工棟数及び除却棟数の推計を行うことで2030年までの住宅ストックの動向を明らかにすることを目的としている。なお、平成20年度の研究範囲は2030年までの木造専用住宅ストックの動向を明らかにすることであるが、現時点で以下の3項目の成果を得られた。 1. 本年度も昨年度に引き続き固定資産台帳に基づき、建物の中でも比較的規模などが均一で棟数が多い木造専用住宅の建設年別に平均寿命を算出した。2種類の平均寿命の算出手法を用いて、1975年から2007年までの平均寿命の推移が明確になった。 2. これまでの平均寿命の算出結果を基に、3地域における木造専用住宅の2030年までのストックの動向を算出した。なお現時点では、研究成果について学会等で発表を行っていないが、現在結果をまとめて近日中に日本建築学会計画系論文集、同生産シンポジウムなどに投稿する準備を行っている。 3. 今後の住宅ストックの動向は、立地(地域)によって大きく傾向が異なることが判明したが、木造専用住宅については2030年頃がストック数のピークであると考えられる。また、住宅の寿命に影響を与えている延床面積についても社会指標を用いて回帰式で予測することが可能であることが判明した。以上の結果、今後の住宅産業や住宅非策を考察する上で、重要な視点を提示することができた。
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