本研究は、ユジノ・サハリンスク(旧豊原市)を対象として、その市街地変遷を歴史的特質から明らかにし、かつ北海道とロシア極東における主要市街地との歴史的構造的景観的側面からの比較検討を通して、日露双方の都市認識や休刊秩序のあり方を考察する一助とするものである。 研究初年度にあたる平成19年度の計画ではユジノ・サハリンスクにおける資料収集とその分析を中心課題としていたが、私事(祖母の急病と死去)により、夏季の現地調査を延期せざるを得なくなったこと、昨年11月に予定されていたユジノ・サハリンにおける学術セミナーが本年5月に延期されたことに伴い、大幅な計画修正を余儀なくされた。そのため、既往研究成果の整理と関連基本文献の収集整理を中心とした研究活動を進めたため、具体的な成果としては、審査中の論文1編と既往の研究成果をまとめた出版物1編の刊行にとどまった。 『サハリンのなかの日本 -都市と建築-』と題した図書は、ユーラシア・ブックレットの一環として、サハリンにおける歴史研究の視点から、近代サハリンにおける日本期建造物と都市建設を論じ、その特質と意義を広く論じたものであり、「樺太」に関心が向きがちな日本の歴史的視座に対して、やや角度を変えた論考を試みたものである。
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