電波を透過する金属材料の実現を目的として、金属ナノ粒子相を基本構造に持つ材料の作製を行い、材料の構造の評価と、電波透過特性および電気特性の評価を行った。以下に実施した研究内容の詳細を示す。 (1)金属ナノ粒子相/誘電体層構造の作製 金属ナノ粒子相のサイズ(平均粒子径、最大粒子径)、形状(アスペクト比)、金属相体積率、酸化物誘電体層の厚さ(平均厚さ、最大厚さ、最小厚さ)、金属粒子間の距離(平均距離、最大距離、最小距離)をパラメータとして変化させた材料の作製を行った。電波透過特性の評価に必要な板状試験片(50mmx50mm以上の平面、厚さ1-3mm)とした。 (2)金属粒子相/誘電体層構造の評価 (1)で作製した材料の構造の評価を、SEM、TEM、XPSを用いて行った。金属ナノ粒子相の粒子直径及び誘電体層厚さ、金属粒子相間の距離の分布や形状の評価を行なった。試料全体での構造の均一性の評価も行なった。また、これら試験片を用いて力学試験を行ない、材料の降伏応力及びヤング率の測定を行なった。 (3)電波透過特性および電気伝導率の評価 (1)で作製した試験片の電波透過特性の評価を周波数20-40GHzの範囲で行なった。試験片の厚さを変えて実験を行い(試料厚さ1-3mm)、材料の減衰係数や複素誘電率を求めた。また、四端子法を用いた電気伝導率の測定も行なった。この結果から、電波を透過するための材料の構造の条件に関して、考察を行った。
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