研究概要 |
本研究は、レーザー誘起局所加熱によりガラス基板上に位置選択的に形成した結晶ラインパターンについて、その局所的な光非線形性(第二高調波発生)の定量的評価をすることを目的とするものである。 Cu添加Li_2O-Nb_2O_5-SiO_2ガラスへのLiNbO_3結晶化パターン形成について実施し、以下に挙げる成果を得た。 (1) 0.5mol%CuO添加40Li_2O-32Nb_2O_5-28SiO_2ガラスへ、波長1080nmのYbファイバレーザを集光照射し、照射位置を連続的に走査したところ、幅2μmの均一な結晶ラインパターンを形成した。 (2) EBSD(後方散乱電子線回折)によりLiNbO_3ラインパターンの成長方位を調査したところ、レーザーの走査方向に対してaあるいはc軸に自己成長することが明らかとなった。2つ優位成長方向が存在する例は初めてであり、LiNbO_3結晶における原子重点面の異方性が、これまでc軸成長のみ示すβ-BaB_2O_4, Ba_2TiGe_2O_8等に比較して小さいものと考えられる。 (3) ガラス中の銅イオンは水素アルゴン雰囲気中でアニールすることにより表面に拡散し、銅金属膜を形成することが明らかとなった。結果としてガラス中の銅イオンの価数状態は+2から+1あるいは0に変化し、Cu^<2+>特有の光吸収体は消滅し、レーザー書き込みによる透明なLiNbO_3位置選択結晶化ガラスの創製に成功した。
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