電卓デバイスの高機能化・高集積化が進む現在、次世代を担うマイクロ・ナノサイズデバイスが求められており、多機能性材料である酸化物セラミックスの積層・配列化のためのパターニング技術の開発が不可欠である。本研究では、ナノ構造高分子と、セラミックスの溶液中析出・自己組織化を組み合わせ、酸化物セラミックス微細構造体のビルドアップ構築法の開発を目指した。 セラミックスの析出反応場として用いるための高分子テンプレートの合成には、2種のカチオン、アニオン高分子電解質水溶液に基板を交互に浸す交互吸着法により、高分子電解質多層膜を作製した。高分子電解質には、弱塩基・弱酸系試薬を選択し、製膜後に酸性溶液処理による多層膜の再配列を利用して多孔質化を施した。この多層膜をパターン成長させるために、高分子電解質多層膜の吸着を妨げる、ポリエチレングリコール基を持つブロック共重合体がレジストとして有効であることが分かり、パターン膜が合成できた。 高分子テンプレート上に析出させる酸化物セラミックスとしては、酸化亜鉛、酸化チタンを検討し、水溶液からの析出条件について調べた。その結果、高分子の微構造を鋳型にしたセラミックスのパターン構造を得ることができた。析出させたセラミックスの粒子および薄膜は、微構造観察、赤外分光、水晶振動子を用いた析出量測定等によるキャラクタリゼーションを行って析出過程を追い、析出メカニズムの解明を行った。
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