組物複合材料円筒の構造および力学的特性を支配する因子は、材料の特性、繊維配向角度に加えて、繊維束形状、繊維東間距離、組構造、繊維体積含有率、クリンプ率など数多く挙げられる。これらの因子を最適に設計することで、要求性能に応じた複合材料の設計が可能である。また、組物技術の特長として、製品長手方向にその構造を変化させることが可能である。さらに、複合材料1層中に、種類の異なる繊維や、異なる種類の樹脂を含浸させた繊維を用いることが可能である。すなわち、新規ハイブリッド複合材料の概念を適用し、要求性能に応じた組物複合材料の開発を行うことが可能である。 本研究においては、組物技術により作製される組物複合材料円筒の力学的特性評価を行い、力学的特性を支配する因子の相互関係を明らかにし、最終的には、要求性能に応じた組物複合材料の設計手法を確立し、伝統組物技術を応用したスポーヅ用品の開発へと展開する。上記目的を達成するため、平成19年度においては以下の研究を実施した。 1.組物複合材料円筒の力学的特性評価 材料および作製条件を変化させた組物複合材料円筒を作製し、断面観察により、作製条件と組物構造の関係を明らかにした。組物複合材料円筒の力学的特性評価を行い、組物構造と力学的特性の関係を明らかにした。破断面観察により、破壊メカニズムを解明した。以上の結果を元に、組物複合材料の力学的特性を支配する因子の相互関係を明らかにした。 2.力学的特性の予測手法の確立(剛性予測) 材料および作製条件から組物構造を予測する手法を確立した。組物構造を考慮した有限要素モデルを構築し、組物の構造から複合材料の剛性を予測する手法を確立した。以上の結果を元に、材料および作製条件から組物複合材料の剛性を予測する手法を確立した。
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