本研究の目的は熱硬化性樹において、粘弾性制御を必要としない発泡体作製法を確立することである。本研究により、今まで極めて困難であった熱硬化性樹脂からなる微細多孔体を容易に作製することができれば非常に意義がある。また発泡剤として水を用いることで化学発泡剤や有機溶剤は不要となり、環境に与える負荷は小さくまた発泡剤の分解に伴う分解残渣もないため電子材料分野に用いるにも好適である。 1.空孔源となる水をマトリクス材料中に微細に分散させることが、微細多孔体を作製する上で必要不可欠である為、マトリクス材料への水の混練方法の確立を行なった。マトリクス材料と水の混練手法を種種検討した結果、水を微細に分散させるためには超音波ホモジナイザーを用いることが適していた。また超音波照射時間の増加に伴って水が微細に分散することが分かった。 2.超音波ホモジナイザーを用いて微細に分散させた水を、硬化したマトリクス樹脂中に留めることが必要な為、マトリクス材料の硬化方法の確立を行なった。マトリクス材料の硬化条件について検討した結果、比較的硬化速度のはやいものを用いて硬化させることで水の凝集・合一を抑制することが可能であることが分かったしかし反応速度が速い硬化剤を用いた場合、重合時に発生する熱により水が気化してしまう為、硬化剤を加えた後に速やかに金属板の上に取り出し、反応熱を外に逃がすことが必要である。 これらの事から、超音波ホモジナイザーを用いて水を分散させ、反応速度の速い硬化剤を用いて硬化させることで平均空孔径1mmの熱硬化性樹脂多孔体を作製した。次年度はさらなる気泡の微細化を図る。
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