研究課題
本研究課題では、最も基本的な構造材料であるコンクリートに関して、高強度な衝撃に対する衝撃応答特性、衝撃破壊プロセスを明らかにし、状態方程式及び動的構成則を構築することを目標としている。そこで、平成19年度では、コンクリートの衝撃応答特性を調べることを目的とし、コンクリート内部に埋め込んだ圧電性フイルムであるPVDF応力ゲージを用いて衝撃圧縮下でのコンクリート内部の応力状態と応力波伝播過程の直接計測を行った。コンクリートはセメントと骨材からなる不均質複合材料であり、通常の20mm口径程度の衝撃銃を用いた実験では、衝撃波発生面積に対して骨材サイズが大きすぎることから、動的圧縮状態や応力波伝播過程を直接的に測定することが困難である。本研究では、200mm口径という大口径の衝撃銃を用い、骨材形状に対して十分大きい試料を使用することにより、コンクリートの動的圧縮状態及び応力波伝播過程の直接測定が可能となった。本測定結果から、衝撃圧縮下では静的圧縮強度と比較し5倍もの圧縮強度を示すことや、コンクリート内に存在する空孔の圧壊に伴う急激な密度変化により衝撃応力伝播特性が著しく変化することが明らかになった。また、応力波伝播速度の測定結果と応力波伝播の式から動的圧縮状態を計算すると、既往の報告と大きな差が生じる結果となった。これは従来の研究では、衝撃圧縮状態を間接的な測定法により決定してきたことが原因であり、本実験領域におけるコンクリートの衝撃応答を解明する上で、応力伝播の直接測定が非常に重要であることが示された。
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AIP Conference Proceedings, Shock Compression of Condensed Matter-2007 955
ページ: 549-552