本研究は、全く新しいタイプの超磁歪材料を創製することを目的とするものである。具体的には、Mn-Co-Ge合金で観測された磁場誘起相変態を利用することを目指し、Mn-Co-Geをべースとする、Ni_2In型からTiNiSi型への相変態を示す強磁性合金に対して磁場誘起相変態の発生条件を調べ、実用上不可欠な、室温での磁場誘起相変態を発現するための条件を明らかにする。平成19年度は、適切な組成条件を調べるためMn-Co-Ge合金の組成を系統的に変化させた試料を作製し、磁化測定を行いキュリー温度と相変態温度の変化を調べた。その結果、Coを化学量論的組成より減じて欠陥を作ることによりキュリー温度をほとんど変化させることなくNi_2In型からTiNiSi型への相変態温度のみを低下させられることを見いだした。これにより磁場誘起相変態の発生可能な温度を実用上適切な温度範囲に設定することが可能になった。また平行して、強磁性形状記憶合金として注目を集めるNi-Mn-Ga合金の磁性研究も行った。
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