研究課題
今回の研究によって、MnCoGeの化学量論的組成からわずかにCOを減じることによりNi_2In型からTiNiSi型への相変態を生じる温度が急激に減少し、その一方でキュリー温度は殆ど変化しないことを明らかにした。特にCoを8%程度減じた試料では、マルテンサイト変態温度がキュリー温度を下回っており、相変態を磁場により誘起するための条件を満たしている。また、マルテンサイト温度がキュリー温度以下となった試料に対して窒素温度から250℃までのX線構造解析を行った結果、マルテンサイト変態が熱弾性型であることを確認した。これらの結果から、Coを8%程度減じたMnCoGeが磁場による相変態を生じる条件を満たすことが明らかになった。また、今回我々はチョクラルスキー法によるMnCoGeの単結晶化を目指したが、引き上げによる試料冷却の際に発生する相変態に起因する体積膨張によって試料が脆化し、単結晶を得ることができなかった。この点は今後の課題である。我々はMnCoGeについての研究の他に、双晶変形を原理とする超磁歪材料の候補として知られるホイスラー型Ni_2MnGa系合金の研究も合わせて行った。特に、Ni_2MnGaのMnをFeに置きかえたときにFeの磁気モーメントが著しく増大することに注目し、Ni_2MnGaのMnの半分をFeで置きかえ、さらに(MnFe)とGaの組成比をずらしたNi_2(MnFe)_<1+x>Ga_<1-x>について、詳細な磁気相図を作成した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
International Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics 27
ページ: 215-224
Physical Review B 78
ページ: 205113-1-205113-7