本提案の基礎となる「計測システムの確立」、「単一応発光ナノ粒子からの発光評価」に世界で初めて成功した。この発光信号は印加応力に対して比例して増大した。これは、応力発光ナノ粒子が、ナノ領域における力学発光センサーになり得る事を初めて示したものである。これらは、本提案の意義である【マイクロ・ナノ領域におけるダイナミックな応力分布を診断する分析システムの開発】に極めて大きく貢献するものである。研究結果の詳細を以下に記す。 (1)計測システムの確立を完了。 光検出器付きAFMシステムに対して、フォトンカウンティングュニットを導入し、測定条件の光検出器を行った。これにより、単一粒子から破壊発光、更により発光強度が弱い弾性変形に伴う単一粒子からの発光を計測可能な測定システムを確立することに成功した。具体的には、SN比向上(使用部品、環境)、カンチレバーの検討(ばね定数、形状等)など、装置と測定環境の両面から最適化した。これにより、定常的に単一粒子からの応力発光計測が可能になった。 (2)単一応力発光ナノ粒子からの発光評価に世界で初めて成功。 最も発光効率が高く、ユーロピウムドープアルミン酸ストロンチウム(SAOと表記)にターゲットを絞り、SAOナノ粒子(10nm〜)とSAOマイクロ粒子(1-5μm)に関する単一粒子の発光特性の評価を行った。 マイクロ粒子に関しては、(1)数十マイクロNの応力印加で破砕されること、(2)数十nmのサイズになると破砕しないこと、が明らかになった。また破砕に伴う単一粒子からの破壊発光を捉えることに成功した。 応力発光ナノ粒子の単一粒子に対して、AFMの探針で応力を印加したところ、印加信号に伴う発光信号を計測することに、世界で初めて成功した。また、応力印加前後で粒子形状を計測したところ、変化が確認されなかったことから、得られた発光信号が弾性変形発光に由来することを示唆している。
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