研究概要 |
水中のシリカ成分が銅管孔食に及ぼす影響を調べるため,シリカを含む人工淡水とシリカを含まない人工淡水とを用意し,これら試験水に銅管を長期間浸漬する自然浸漬試験を行った。その結果,シリカを含む人工淡水では銅管表面に白色粒子状の皮膜が形成され,発生した腐食形態はマウンドレス型孔食に類似したものとなった。また,シリカおよび各種アニオン(硫酸イオン,塩化物イオン,重炭酸イオン)濃度を様々に変化させた試験水を用意し,これら試験水中で銅管に一定の電位を加え,腐食を加速させる定電位保持試験も行った。定電位保持試験の結果,人工淡水にシリカを含む場合と含まない場合とでは腐食状況が大きく異なることが分かった。具体的には,シリカを含む水の場合はマウンドレス型孔食と類似した形状の孔食が発生するのに対し,シリカを含まない水の場合は針状の緑青が発生し,その下部で孔食が進行している従来のII型孔食に類似した孔食が発生した。定電位保持試験後の試料表面観察により,マウンドレス型孔食に類似した孔食が発生する水中のシリカ濃度範囲は20〜60ppmであることが判明した。さらに,水中のシリカと微量金属イオンとの反応性を調べるため,ビーカー試験および管内満水保管試験を行った。微量金属イオンとして添加した鉄イオン,アルミニウムイオンはシリカとすぐに反応し,銅管表面にスケールを形成して沈着することが分かった。
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