本研究では、石油タンク底板溶接部に塗膜を剥離することなく適用可能な検査手法として、高感度なMIセンサ用いた残留法による漏洩磁束探傷法を提案し、さらに、申請者の所属する研究室で開発された"磁気補助材"を用い、物理的にき裂による信号を増幅することにより、実き裂に対しても適用可能なき裂検出・評価システムを開発する。そのため、有限要素解析と最適化解析を連携させ、磁気補助材として本システムに最適な形状(幅、厚さ)、取り付け位置等の最適条件を導き出す。本年度は、2年計画の初年度であり、研究内容は以下の通りである。 ・最適な磁気補助材となり得る強磁性体の材料を選定した後、有限要素解析から得られたき裂信号の増幅効果を、放電加工により人工きずが施された試験片を測定することによって確認した。 ・本システムの磁気補助材として最適な幅、厚さ、取り付け位置等を有限要素解析によって見出した。 ・これらの解析結果及び実験結果を基に本システムを改良し、これを用いたき裂評価手法の検討を行った。 ・平成20年度の実タンク底板溶接部の測定を見据え、MIセンサと磁気補助材を納めることが可能な、溶接形状に追従して測定できるプローブユニットを作製した。 測定時に混入したノイズに対し、これらを補正するために、wavelet解析などのソフト面からの検討によって、溶接形状及びコーティング厚さのばらつきから生じる雑音の除去を試みた。
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