研究概要 |
スパッタプロセスは,半導体のCu配線やゲート電極,ZnOなどの蛍光体や透明電極など非常に幅広い薄膜プロセスに用いられている.高機能薄膜を高品質に形成するためには,プロセスの気相・薄膜表面反応過程に基づいてスパッタプロセスを高精度に制御する必要がある.本研究では,多元素スパッタプロセスにおける気相中の数種類の金属原子密度を同時モニタリングするための吸収分光用光源の開発し,その光源を用いて実スパッタプロセスの気相診断技術の確立を目的としている.本年度は,数種類の金属原子密度を同時モニタリングするための吸収分光用光源を,マイクロホローカソードプラズマを用いて開発し,その発光特性について研究を実施した. 1.測定可能な金属元素の調査 マイクロホローカソードプラズマを用いた本光源では,スパッタプロセス等のデバイス作製プロセスで重要なIn,Zn,Cu,Zn,Fe,Ti,Al,Ga原子の発光を確認した.これらの発光線は原子吸光分光法における分析線であり、金属原子密度が測定可能であることを示唆する. 2.マルチマイクロホローカソードプラズマのプラズマ特性の調査 各金属原子の発光強度が最も強くなるような条件の調査と,窒素分子の回転スペクトルから光源内のガス温度を調査した.カソード径は小さく,カソード長は短いほど発光が強くなることを見出した.また,スパッタ効果の影響から圧力が小さくなるほど発光強度が大きくなり,0.01MPaにおいて吸収分光用光源として充分な強度を得られることがわかった. 3.金属原子密度測定 本光源をスパッタリング装置に適用し,スパッタ堆積プロセス中の金属原子の絶対密度計測を行った.Cu,Mo,In,Zn原子の絶対密度を10^8〜10^<10>cm_-3オーダーで絶対密度計測ができることを確認した.また,異なる金属原子の密度を同時に測定することが可能であることを確認した.
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