研究概要 |
超音速フリージェットPVDは, 生成直後の活性なナノサイズの粒子(ナノ粒子)を5km/s以上の超音速ガス流によって加速・基板まで搬送し, 高い速度を付加したナノ粒子を基板上に堆積させることより膜形成させる新しいコーティング法である.これまで申請者は, 「高い成膜速度」と「緻密な膜形成」の両立を可能とする技術として超音速フリージェットPVDを提案・開発している. 本研究は, 超音速フリージェットPVDを用い,ハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite ; Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2 : 以下HApと略記)粒子分散Ti膜の開発を目的とした. 既存の超音速フリージェットPVDに分散粒子供給機構を付加し, Tiマトリックス中にHAp粒子を分散させた皮膜の形成に成功した.形成させた皮膜はき裂やボイドなどの構造欠陥の無い緻密であることが観察され,xRDからはTiとHApのピークが確認された. また, 成膜した皮膜をpH7.4液温37℃の疑似体液(SBF)に14日間浸漬させ骨類似アパタイトの生成の有無を観察した結果, 骨類似アパタイトの生成が確認され, 本法によるアパタイト粒子分散Ti膜は生体活性能を有することが明らかとなった. 本研究成果により, 本法により形成されるHAp粒子分散Ti膜が人工骨・人工関節など生体硬組織代替インプラント材として活用できる可能性があることを示すと共に, HAp粒子を分散させたTi膜の疑似生体環境下における生体活性能の基礎的知見が得られた.
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