研究概要 |
鋳造産業は,日本国内で非常に活発な産業であると同時に,日本の基幹産業である自動車産業をはじめとするものづくり産業における重要な役割を担っている。昨今,本産業分野においては,中国をはじめとする東アジアや東南アジアへその生産場所が移ってきており,産業の空洞化や景気の低迷を招くおそれがある。この問題を打破するためには,生産効率の向上・製品品質の向上・生産コストの低下を実現する新たな鋳物生産方式を創出する必要がある。本研究成果が実用化されれば,他にはまねのできないレベルにおいて生産効率の向上・製品品質の向上・生産コストの低下を実現でき,本地域における産業活性化に大きく貢献できると考える。 本研究では,鋳造メーカーにおける大きな課題であった鋳造プロセスにおける欠陥発生のメカニズムの解明とその対策を打ち出すことを最大の目的とした。申請者らはこれまで,人間の持つ判断力,学習能力,または熟練技能を機械に備えることにより,機械を自律化・知能化させる知能機械システムの研究開発を行ってきた。その中でも,鋳造プロセスを対象として,溶融金属の流体挙動を解析し,その挙動を制御する分野においては大きな成果をあげてきた。 H19年度は,CFD(数値流体力学)モデルを用いて,溶湯の湯流れ解析を行うことにより,鋳造プロセスにおける鋳造欠陥の発生原因を追求し,鋳造欠陥発生の防止と製品品質向上を可能とする鋳造プロセスの最適制御システムの開発をおこなった。具体的には,流量係数の変化などの影響を考慮し,多種多様な製品に対しても従来の経験則や反復実験による方法から脱却し,CFDシミュレータを用いたより合理的な注湯プロセスモデル構築法と注湯制御入力導出法の確立を行った。
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