本研究では、膜・微生物ハイブリッド型水再生プロセスを発展させた新規な環境汚染有毒物の分解・除去プロセスの開発を行う。微生物として、種々の環境汚染有毒物に対して分解活性を示す白色腐朽菌を用い、この微生物が産生する分解酵素を効率良く利用するためのシステムの確立を目指す。 本年度は、染色産業廃水の高度処理について検討を行った。染色産業廃水中には、多量の染料が含有されており着色しているため、処理水の再利用のためには廃水の脱色が必要不可欠となる。染料は難生分解性物質であるため、活性汚泥法などの従来の生物学的処理では脱色が困難であるが、白色腐朽菌および白色腐朽菌が産生する酵素による脱色実験の結果、白色腐朽菌による脱色が可能であること、また白色腐朽菌が産生する酵素の内、ラッカーゼとマンガンペルオキシダーゼにより廃水の脱色が可能であることが明らかとなった。特にラッカーゼによる処理では、アゾ型やアントラキノン型など様々な構造の染料に対して脱色・分解が可能であったことから、この酵素を有効に利用する方法の検討を行った。 ラッカーゼを連続的に利用する方法の一つとして、ラッカーゼを分離膜に固定化する方法について検討し、ラッカーゼ固定化膜の作製および固定化膜による脱色実験を行った。固定化によりpHに対する安定性が増し、また固定化膜により廃水の染料濃度の変化に対応でき、連続的な脱色が安定してできることが明らかとなった。
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