平成19年度は、シリカをハニカムの原料とし、中性、室温以下の生体物質に優しい条件で生体物質包括型ハニカムモノリスを合成する検討を行った。まず、様々な条件(濃度、pH、熟成度)で調製したシリカゾルもしくはシリカ湿潤ゲルを一方向凍結して得られる試料の形状を調べた。その結果、ハニカムを得るためには、ゲル化した直後の湿潤ゲルを用いる必要があることがわかった。しかし中性付近では、シリカがゲル化しないためハニカムは得られなかった。そこで、ゲル化剤を原料溶液に添加して中性付近でシリカゾルをゲル化させた。このようにして得た湿潤ゲルを一方向凍結すれば、ハニカムが得られることを見出した。また、一方向凍結の条件と、原料溶液への水溶性ポリマーの添加が試料の形状に及ぼす影響についても詳しく検討した。その結果、挿入速度を大きくする、凍結界面の温度勾配を大きくする、もしくは水溶性ポリマーを添加する、といった操作を行えば、通常はラメラ構造しか得られないような前駆体(シリカゾルなど)からでも、ハニカム構造が形成されることを見出した。さらに、これらの条件を調節することで、ハニカム開口径を200nm〜10μmの広い範囲で制御することに成功した。以上の結果より、中性付近でハニカムを合成するための指針が明らかとなった。一方、ハニカム壁への酵素の包括固定化についても検討を行った。酵素であるHRPを原料溶液に添加し、一方向凍結するだけで、HRPはハニカム壁に包括担持されることがわかった。
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