本研究では、超臨界二酸化炭素を用いた分子イメージングに利用可能なナノレベルでの微細構造が制御された細胞認識型の表面修飾ナノ粒子の製造法に関する基礎的な知見を得るために、1)高出力型超音波分散装置を有する高圧反応装置を用いたナノ粒子の分散および表面修飾技術の開発、2)数十μmの光路長を有する赤外分光高圧容器および可変体積型高圧容器を用いた超臨界二酸化炭素に対する生体高分子などの溶解挙動の測定および分子レベルでの溶解メカニズムの解明を試みた。 高出力型の超音波分散装置を導入可能な高圧容器を試作することで、超臨界二酸化炭素中においても、酸化チタンなどのナノ粒子を効果的に分散可能であることがわかった。また、表面特性が親水性の酸化チタンの表面をシランなどの表面改質剤を用いて修飾することで、酸化チタンナノ粒子の超臨界二酸化炭素中での分散特性は大きく改善されることがわかった。表面処理を施した酸化チタンが分散した超臨界二酸化炭素中でメチルメタクリレート(MMA)の重合を行うと、フッ素やシロキサン系の界面活性剤を用いることなく効率的にMMAの重合が進行し、高分子微粉体が形成可能であることがわかった。FT-IRなどを用いて粒子形成メカニズムを検討した結果、MMAモノマーが酸化チタン表面に吸着および化学結合し、酸化チタン表面でグラフト重合が進行していることがわかった。
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