研究概要 |
平成20年度は固体酸シリカアルミナ表面に1・3級両方のアミノ基を有する触媒(SA-NH_2-NEt_2)の開発を行った。きらに、この触媒がニトロアルカン類の連続的1, 2-、1, 4-付加反応に高い活性を示すことを見出した。この反応ではニトロアルカンとアルデヒドから、種々の合成反応の前駆体となる1, 3-ジニトロプロパン誘導体が得られる。本触媒を用いると様々なアルデヒドで効率よく反応が進行した。また、1級および3級アミンのみを固定化した触媒や、それらの物理混合では反応活性は低く、同一固体表面における1級および3級アミノ基の協奏的触媒作用が示唆された。興味深いことに、この触媒を用いるとカルボキシル基などの酸性の官能基を有するアルデヒドでも反応が進行することがわかった。 そこで、SA-NH_2-NEt_2に基質分子であるアルデヒドとニトロメタンを吸着させ、固体NMR測定を行なったところ、1級アミンとアルデヒドから形成されるイミン中間体が確認された。さらに、基質吸着時および吸着前の13C CP MAS NMR測定をCPのコンタクト時間を変化させて測定を行なった。基質を吸着させると最大の3級アミン由来の信号強度を与えるコンタクト時間が短くなった。これは、特に3級アミンが基質と相互作用することで分子振動が低下したためであると考えられる。すなわち、固体表面で1級アミンと3級アミンが協働して基質分子を活性化していることを見出した。 以上の研究成果について、論文および学会での発表を行なった。
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